部門講演会優秀発表表彰: 鍵山 善之(神戸大学)

この度は優秀講演表彰を頂戴致しまして,大変光栄に存じております.発表の場を与えて頂きました学会関係者各位,共同研究をさせて頂いている指導教官の多田先生,大阪大学多元画像研究室と大阪大学整形外科には厚く御礼申し上げます.本研究の対象としております「人工股関節置換手術」では,人工関節の設置が手術後の患者の歩行や屈伸といった日常生活の動作に影響を与えるため,適切な手術計画を立てることが重要とされています.これまでの手術計画はX線画像にもとづいて行なわれており,よりよい手術計画をたてるために複数の客観的な評価値が用いられてきましたが,X線画像から奥行き方向の情報は得られないため,CT画像から再構成した3次元モデルを用いて手術計画を立てるシステムが研究されています.これは3次元的な手術計画が立てられるため,近年発展がめざましい手術ナビゲーションシステムや手術ロボットとの親和性が高いのですが,レンダリングや3次元での解析には膨大な負荷がかかり,どの一般病院にも容易に導入できるものとはいえません.そのため,ネットワーク経由でPCクラスタやグリッド等の高性能なコンピューターに処理を委託することで,高速に手術計画を立てることができないか検討致しました結果,その有用性を確認することができました.また,経験の豊富な医師のノウハウを定量化しアルゴリズムに組み込むことにより,より高度な自動手術計画システムを構築できるものと考えております.このシステムは,医師の負担の軽減だけでなく医療水準の向上も目指しており,今後も自動化に向けた研究を継続して参りたいと思います.


JSME home pageD&S home pageReturn